京都市北部は美山にある巨大芦生杉群

花背(はなせ)の天然伏状台杉(てんねんふくじょうだいすぎ)1本

花背・鍋谷山の支稜部を中心に存在する大きな伏状台杉群の中の最大規模の個体で、樹高幹周18.35mに達します。
根際近くから枝が何本も分枝する巨大な台杉であり、それぞれの枝が支幹となり、老支幹が枯死しても、他の支幹と入れ替わるので、樹勢が衰えません。

花背(はなせ)の天然伏状台杉(てんねんふくじょうだいすぎ)1本
京都市指定天然記念物
京都市左京区花背原地町 井ノ口山
昭和58年(1983)6月1日告示

花背(はなせ)の台杉 5本

花背の植林地の中に5本の台杉が点在しています。
杉には、太平洋側型と日本海型とがあり、台杉、裏杉又は芦生杉と呼ばれる
日本海型の杉は幹が下部から大枝に分かれるのが特徴で、
この5本の台杉もそうした形状をしています。

花背(はなせ)の台杉 5本
京都市登録天然記念物
京都市左京区花背原地町 井ノ口山
昭和61年(1986)6月2日告示

これらの巨木は芦生杉(あしゅうすぎ)という日本海側に生える杉の品種で、裏杉とも呼びます。芦生杉は、(ブナ)の森でも有名な京都府美山町芦生の地名がついた京都ゆかりの杉です。

幹が折れたりしても側枝が新たな幹となって伸び、「台杉、やぐら杉」といわれる独特の株立ちの形態をとります。また、雪の重みで地面についた枝から新たに根が伸び、新たな1本の木のようにそこから枝が幹となって生長を始めます。これを「伏条杉」といい、「台杉」と「伏条杉」を総称して「伏条台杉」と呼ばれ、かつては北山の典型的な景観のひとつとして山々のそこかしこにあったと言われています。

鎌倉、南北朝時代(1192年~1603年)に、御料林を中心に林業技術が発達し、1本の木から多くの材がとれるように台杉仕立てが盛んに行われたようです。

その後品種改良が進み、台杉に代わり1本植えが中心になりました。明治時代に入り、明治2年(1869)に御料地の解体に伴い民間に払い下げられますが、南北朝時代から放置された台杉仕立ての杉は、大きくなり過ぎたことが用材としての価値を下げ、伐採の手から逃れたようです。

平成7年(1995)に樹齢は1,000年以上だと推定されました。それまでは、北山にある一般的な杉の太さと樹齢の関係から割り出し、樹齢500年前後とされていました。

近年林道が伸び、太い杉が何本か切り倒されそれを調査すると、直径1mほどで年輪400年を越えていました。この数値から推定樹齢が伸びたのです。

この地域の巨樹は杉だけではく、幹周囲4.2mを越す栗(クリ)や4.7m以上の栂(ツガ)、樅(モミ)、犬(イヌブナ)、水楢(ミズナラ)、黄檗(キハダ)などの巨木が数多くあります。

・・・日本有数の多様な巨木の森だったのです。

クリ:【栗】ブナ科の落陽高木

山中に生え、また果樹として栽培。雄雌同株。葉は狭長楕円形。
6月頃、数個の雌花と黄白色の雄花穂をつけ、秋、いがに包まれた果実は食用となる。
材は建材・家具などにする。季語「秋」

ツガ:【栂】マツ科の常緑高木

山地に自生。幹は直立し、30mに達する。葉は線形で枝に2列に密生する。雄雌同株。雄花・雌花とも枝端に単生。
球果は小さい長卵形。材は建材・器具材・パルプ材などとし、樹皮からはタンニンを取る。トガ。
近緑種にはベイツガ・カナダツガなどがある。

モミ:【樅】マツ科の常緑高木

本州中部から九州の低山に生える。葉は密に互生し線形で、若木では先が2裂。雄雌同株。
初夏、開花し、短円柱形の松かさを付ける。庭木やクリスマスツリーにし、材は、建築・船舶にに利用。
トウモミ。モミソ。モムノキ。

イヌブナ:【犬(仙毛欅)】ブナ科の落葉樹

山地に自生し、高さ20mに達する。葉は互生し、卵形。樹皮は黒く、材は建材など用途が広い。クロブナ。

ミズナラ:【水楢】ブナ科の常緑高木

温帯の低山に群落を作って生える。高さ約20m。葉は卵形で、荒い鋸歯がある。雄雌同株で、5月頃開花。
秋、卵状楕円形の堅果(どんぐり)がなる。材は器具・建築・薪炭用。

キハダ:【黄檗】ミカン科の落葉高木

山地に自生。葉は峡卵形の小葉からなる羽状複葉。雄雌異株。夏、枝先に黄緑色の小花多数を付ける。
果実は球形で黒く熟す。樹皮の内皮は鮮黄色で健医薬や染料とする。キワダ。オウバク。

芦生の森について

肥えた土地は、長生きしにくく、早く伸びる代わりに寿命も短くなります。 杉は、通常の地域では500年が限度だとされています。地味が悪く生長が遅いと年輪が詰まり強度が増し、樹脂を多く含むようになり、腐りにくく病害虫にも強くなります。

背が低いと風に揺さぶられて折れる可能性も減ります。厳しい環境で育つほど打たれ強くなり長生きするそうです。屋久杉も同様のことが言えます。

おばけ杉 の前に立つと、どんな歴史があるのか知りたい欲求が湧いてきます。それは、長い間自然と共に変化しながら生き続けてきた重みがあるからかもしれません。 入山には私有地ですので地主さんの許可が必要です。

井ノ口山 標高=779.1m、三角点等級=3、三角点名=西丁子 井ノ口谷の頭。井ノ口谷山(いのくちだにやま)。三角点のすぐ西の峰(標高842m)をいう。この峰には、京大ワンゲル部の標識によると、小高山(こだかやま)の名前があるが、井ノ口谷の詰めに位置しており、井ノ口山と呼ぶべきである。 山塊としてとらえた場合、山頂はさらに西の859m地点であるが、ここは、鍋谷山と呼ばれています。

同様の芦生杉郡が京都大学芦生研究林の中と比良山頂付近にあります。芦生研究林に入山するには京都大学 森林ステーション フィールド科学教育センターの許可が必要です。芦生杉郡は一般公開はされて無い所に有ります。比良山は入山許可など不明。